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「田村はまだか」を読んだ感想 by tata

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田村はまだか (光文社文庫)

・本のタイトルと作者
朝倉かすみ/田村はまだか

・ 何故その本を選んだのか
ピンクのセーターを着た壮年の男が表紙で、そしてこのタイトル。吉川英治文学賞受賞した作品ともなれば、書店で目に付かないはずもなく、思わず買ってしまいました。

・ あらすじ
小学校時代のクラス会から流れついての三次会。札幌のとあるバーで男女五人が、大雪のせいで列車が遅れ、クラス会に間に合わなかった元クラスメイトの「田村」を待つ。
「田村」の到着を待つ間、それぞれに心に浮かぶのは、過去に触れ合った人たちのことで…

・読んいでる間の感想
読み出すと、表紙の人物が「田村」では無いことが分かってきます。それは三次会の会場となったバーのマスター・花輪でした。男女の会話を聞くとはなしに聞いているその花輪までも田村を待ってしまう。そんな田村のカリスマ性は読者である私にも伝わってきます。
そして、「なんというピッタリのタイトルなのか!」と、感動するほどに自分自身も「田村はまだか」と、いつの間にか言ってしまっているという程です。
読者の感情を移入させやすい存在として花輪はそこに居るのではないかと私は思いました。読者自身がその場に一緒に居るような気持ちになってしまう…そうした意味もある表紙なのではないかと感じました。
こうやって、読み手の想像力を掻き立てる、朝倉かすみさんの描写力は本当に素晴らしいです。

・読んだ後の感想
自分の過去を思い出して、切ないような懐かしいような、そんな気持ちがこみ上げてきます。
バーで待ち続ける友人それぞれのエピソードというのも、経験豊富な人ほど、「これは自分のことなんじゃないのかな?」と、共感してしまうと思います。
最後まで「田村はまだか」と言ってしまう、そのやりとりすらも楽しめるくらいになってしまう程に。
読むタイミングや、年齢で心に響くものが変わるという、読み返す度に感想が変わってしまうような深く味わい尽くせる作品だと思います。

・好きな場面・言葉
タイトルそのままだけれど「田村はまだか」これが一番好きな言葉です。
様々な角度から語られる田村の過去のエピソードや言葉も、胸にグッとくるものが本当にたくさんありますが、やはり「田村はまだか」秀逸なタイトルでもあります。

・読み終えて自分にどんな変化があったか
思い出の中のヒーローだったような「田村」は変わらぬままで、そんな田村に会いたかった私たち。どんな年齢になっても、やり直せる!生まれ直せる!という、希望に満ちた気持ちになりました。

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